さ、5話です。
幻影ヲ駆ケル太陽 episodioⅤ『ああ、金、金!この金のためにどれほど多くの悲しいことがこの世に起こることであろうか!』 あらすじ
ぎんかの父・弥太郎がセフィロ・フィオーレにやって来た。経営するディスカウントチェーン「サンチョ・パンサ」が成功し、順風満帆な弥太郎は、新人部隊をパーティーに誘い出す。知人と再開するぎんかと弥太郎。その際、恩人の本田が倒産寸前であることを知らされる。本田の身を案じる二人だったが・・・・・・
今回は『節制』のタロット使い、白金ぎんかを掘り下げる回となっています。
白金ぎんかの幼少期とその影響
ぎんかは幼少時、父の白金弥太郎と共に暮らしていましたが、当時は倒産して間もない頃。
取り立て屋から暴言を浴びせられ、家には落書きされるなど、、絵に描いたような貧乏生活をしていました。
その反動か、現在のぎんかの部屋がモノで溢れています。
ぎんか「おとんもウチも、モノがないと落ち着かへんねん。いつまた買えへんとも知らんと思てまう。昔は貧乏やったし。」
それぞれの『タロット使い』への評価
月詠家では、タロット使いはその異質性から忌み嫌われていました。
「人質として差し出してしまえばいい。」など、散々な言われようです。
しかし白金家では評価が全く違います。
弥太郎「あなた方、エレメンタルタロット使い手はんは、人類の宝よってからに!(中略)まさか、自分の伯母に覚醒した力が、あの子(ぎんか)に受け継がれてるとは・・・。」
「一族の誇り」とまで称しています。
また、『正義』のレンハート家では代々本家や分家から候補者を立てて戦わせ、一番強い者が次の担い手となります。そのため、『正義』の場合は数多の候補者の犠牲の上に成り立つ栄光であるなど、家系によって全く違うのも、面白いですね。
ケルブレムの暗躍
ケルブレムには変身能力があることが判明します。若い女性、小さな子供、目の前にいる人間にも変身できます。相手によって姿を変え、油断させ、信用させ、最終的に魂を喰らうために追い詰める。ある目的のために、積極的に動き出します。
借金苦により精神を追い詰められ、輪を作ったロープを垂らし、自らの幕引きをしようとする本田。そんな絶望の空間に、小学生ほどの女の子が突然現れます。
ケルブレム「お金のことでそんなことするなんて、もったいないよ。」
目が光り、本田は完全に目から生気が失われていきます。
ケルブレム「願いを。かなえてあげる。」
本田はケルブレムと契約を結びます。
—
仕事帰り、久々に本田との再会を楽しみにしていた弥太郎。
しかし、道端で再開するも、当の本田はもはや生気もなく虚ろな表情で、別人のようになっていました。
身の危険を感じた弥太郎は、隠し持っていた『節制の護符』を足元に叩き付けます。辺り一面に光が放たれます。一瞬の目くらまし。なんとか危機を脱することができました。
しかし、それもつかの間、周りの看板が、弥太郎を狙うように落下してきます。
—
同時刻、アストラルクスには『食べ物のダエモニア』が発現、あかりたち4人はすでに出撃していました。その中で、ぎんかは現実世界にいる弥太郎の叫びを聴きます。
弥太郎「なんでや、本田ァ!!」
白金ぎんかの選択
アルトラスクスの現実世界への窓に映る父と、その叫び声。
相手が本田であることを察したぎんかは、声を聴くために自らあかりの手を握る。
ぎんかは本田の声を聴きます。聴きながら、涙がとめどなく溢れてきます。
せいら「声なんか聴くからこんなことになる!知らなければ、何のためらいもなく戦える!」
ぎんか「せいらの言う通りや。聞こえへんかったら、知らんかったら、苦しまずに済んだ。でもおっちゃんは・・もっとつらい!」
ぎんか「ウチが、おっちゃんを楽にする!」
自分の体の制御がきかなくなった本田の弱弱しく、辛そうな声。
ぎんかは早く終わらせるために、武器を強く握りました。
一匹の蝶
あかりとぎんかの会話の中で、蝶が一匹、舞うカットが入れられています。その蝶はあかりの奥で隠れ、その後消えて出てこなくなります。
ケルブレムの持つディアボロス・タロットは、魂を取り込むと、蝶の模様が刻まれます。
ヨーロッパでは、人の霊魂を蝶にイメージされる話があり、それに踏襲したものと思われます。
よって、ここでの解釈は『あのような惨いかたちになってしまったが、最後の最後でぎんかと話すことができた、不幸中の幸い』として、本田が最後にできたあかりという伝達者への感謝を表しているのではないでしょうか。
ぎんか「確かに、おっちゃんの声を聞かんかったら、もっと楽やったと思う。けど、なんであかりがこだわるんか、分かる気がしたわ」
タロット使いとしての宿命の中で、ぎんかも納得できるかたちでお別れができたようです。
6話へ続く。
※当記事は、作中の画像を参考として引用しています。
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