幻影ヲ駆ケル太陽 episodioⅠ:『太陽の黒点』
伯母夫婦と、その娘・冬菜と暮らす太陽あかりは、占い師だった亡き母・太陽ひなたに憧れ、タロットに夢中な日々を送っていた。そんなあかりの周囲で、立て続けに不審な出来事が起こり始める。ある夜、就寝中のあかりをおぞましい魔物が襲う。その時、タロットカードが宙を舞い、『太陽』のカードが輝きだして・・・!?
本編
※当記事は、作中の画像を参考として引用しています。参考画像等の著作権は「(C)sole;viola/Progetto 幻影太陽」 にすべて帰属します。
主人公・太陽あかり
占いの館へ向かうため、急ぐ女の子。
急いでいる途中、階段を上る妊婦さんを見かける。
代わりに荷物を持って運んであげる。
寄り道をして時間が経ってしまったことに焦った女の子は、急いで目的の場所に向かいます。
向かったのは占いの館。
中から「あかり、早く早く」と手招きするのは”永瀧の母”。
主人公、太陽あかりさんは「は~い!」と元気よく応えます。
主人公の「太陽あかり」は、素直でやさしい元気な子。
『困っている人を助けようとする人間性』で、口調も丁寧語。
駆け足の描写もあり、健康的な子という印象ですね。
とにかく太陽あかりの「善」な属性を、これでもかと見せてくれていますね。
オープニング
ここでオープニング。かわいすぎる。
幻影を駆けている太陽。
タロットカルテット、みんなで決め。
太陽あかりの占いの実力
この恋愛の行方に、不安を感じていたようですね。
その不安が相手に伝わって、ギクシャクしてしまった。
・・・ですが、「月」のカードは、直感や夢や想像力の豊かさを表すカードでもありますし、将来に「太陽」のカード、結果に「女帝」のカードがでていますから・・・(略)
丁寧な対応、根拠のある説明。
お客さんも占いの結果には大満足。
感謝をされて満足げなあかりさん。
タロット占いについて本格的な勉強をしていることがわかります。
作中そう多くはない、貴重な占いのシーンです。
タロットガチ勢、あかりさんにとってタロット占いは日常です。
亡き母・太陽ひなた
あかりさんの占いの評判は上々で、同じ館で働く同僚の2人には「商売あがったりだ」とまで言われるほど。
「え? 占いの腕って、遺伝するの?」
そんな冗談とともに、あかりさんの母親「太陽ひなた」の名前が出る。
母親と比較されたことに対し、「早くお母さんみたいになりたい」と嬉しそうに話すあかりさん。
占い師という職業の不安定さとは別に、
「ひなたは時々悲しそうな、寂しそうな顔をしていた」と話す永瀧の母。
それには気が付かなかった、永瀧の母にその原因を聞く同僚の2人。
話し込んでいるうちに7時の鐘が鳴り、「叔母さんが心配するから、そろそろ帰らないと」と席を立つあかりさん。
永瀧の母は「ここに住んでも構わない」と提案するも、あかりさんは「みんな優しいから大丈夫!」と明るく振舞います。
占いの館を出るあかりさん。
木陰には不審な男の姿が・・・。
元々は占いの館に住み込みで働いていた母とともに住んでいましたが、
今は親戚である心崎家に居候しています。
商店街で見た女性と、まわり始めた運命の歯車
帰り道、商店街のショーウィンドウに飾られたバラのコサージュを見つけるあかりさん。
その後ろを通り過ぎるゴシック衣装を身にまとった女性。
この衣装もそうですが、髪の毛の量や持っている傘も相まって、かなり人目を引く姿です。
一体どこに付いていたのか、彼女のリボンが落ちてしまう。
すぐに拾って謎の女性に呼び止めるあかりさん。
その女性は今まで見たこともないくらい美人。
あかりさんも振り向いたその姿に言葉が出ません。
「ありがとう」とお礼を言ってリボンを手に取ると、また歩いていく女性。
その背中を見送って、小さく声を漏らすのでした。
視点はあかりさんからさきほどの女性に。
車に乗り込むと、似た格好をした別の女性が意味深な言葉を投げます。
「間違いないわ・・・。運命の輪は、まわり始めた。」
ここから世界は動いていく。
この小さな会話には、想像以上に深い意味がありそうです。
同じ格好をしたもう一人の女性の登場。
そして「運命が廻り始めた」なんてセリフ、冒険の予感ですね。
「間違いない」というセリフから、何かの確証を得るためにあかりさんと直接向き合っています。
会話だったのか、それともすでに何か仕掛けていたのか・・・?
ちょっと考えてみましたのでよかったら。
あかりと冬菜の将来
場面は変わって、夜、心崎家の一室。
異邦人の本を片手に、ページをめくる少女。
キリの良いところまで読み終えたのか、本から目を離すと聞こえてくるあかりさんの声。
慣れた手つきでハサミを手に取り、あかりさんの部屋へ。
部屋では部屋の植物に体中を縛られたあかりさんが助けを求めていました。
異様な状況ですが、大して驚かない冬菜。声のトーンも変わりません。
あかりさんを縛っていた植物のツタを慣れた手つきで切っていきます。
どうやらあかりさんの近くにある植物は、なぜか生長が早いようで・・・。
植物から解放されたあかりさんに、そろそろ晩御飯だと伝えて部屋を出ようとする冬菜。
あかりさんは呼び止めます。
手には小さなプレゼント。
中身は、エティアと会った通りで見つけた薔薇のコサージュ。
その場で胸元にコサージュを付ける冬菜。
冬菜もとても気に入った様子。
冬菜の笑顔につられて、あかりさんもにっこりと笑うのでした。
2人は仲良しなのが分かる良いシーンです。
あかりさんはプレゼントを贈っていますが、特に何かの記念にというわけではなさそうです。
また、『近くの植物の生長速度が速くなる。』
あとで教えてもらいますが、これは『太陽』の力の余波によるもの。
覚醒前でコレなので、覚醒後はより早くなるのでしょう。
・・・。
・・・ところで、あかりさんに比べてベッドが大きいと思いませんか?
作画ミス?
違います。
冬菜とあかりさんが一緒に寝るときがあるので、あらかじめ大人用にしているのです。
・・・そうであってほしい。
ちなみに、2人は冬菜の寝室で一緒に寝たことがあるのは本当です。
場面は変わり、夕食を家族で囲みます。
すっごく楽しいです!! 修行中なんで、お金はもらえないですけど・・・。
タロットカードって、どこがそんなに面白いの?
その質問を待ってましたと言わんばかりに興奮しつつ、声高に説明していくあかりさん。
タロットの発祥・自身の考察をふまえた知識を披露するも、途中で叔母に止められます。
あんたのタロット好きは、ほんとひなたにそっくりね。
まぁまぁ、好きなことがあるのは良いじゃないか。冬菜は、どうだい?
ふと、話題を振られた冬菜。
その言葉が出せない。
口に出すにはまだ、恥ずかしい・・・。
それぞれに良いところはあるのですが、勢いに任せるということができなかった冬菜。
ここで、「小説を書くのが好きなの」と言えていたら。
また違った未来になったのかもしれません。
ちなみに、冬菜の父親の名前は心崎健吾。
母親は心崎ゆきのです。
太陽あかり・母との想い出
就寝前、あかりさんは占いの練習をしていました。
その手に取るタロットは、母の形見でもあります。
机の写真立てに目をやり、幼い頃を思い出すあかりさん。
一方、冬菜もノートに小説を書いていました。
何度も推敲を重ねつつ、ペンを走らせています。
手が止めて、大きくため息をつく。
心に何かを詰まらせているような、陰りのある表情をする冬菜。
ふと、冬菜はあかりさんから贈られた薔薇のコサージュに目をやる。
「私は小説家(物書き?)になりたい。」と言えなかった。
私”も”・・・まで出てきたものの、それ以上が続けられなかった。
好きなことをはっきり好きだと言えるあかりさんを冬菜は羨ましがると同時に、人に伝えることができなかった自分にも悔しさを覚えます。
真面目だからこそ、頭の回転が速いからこそ、自他を比べて落ち込んでしまうのでしょうね。
学校でのそれぞれ
場所は変わって翌日の学校。
学校名は・・・書いてありますが、読めず。
たまたま、勉強したところが出ただけで・・・。
学校では常にトップの成績の冬菜。
謙遜しつつも、まんざらでもない表情。
そんな中、聞こえてきたのは「すごいよあかり!当たってる!」という声。
冬菜たちは声の聞こえてきた、その方向へ目をやると・・・。
同級生に囲まれているあかりさん。
どうやら占いをしている様子。
冬菜と話していた同級生もあかりさんの元へ。
お昼休み、学校の屋上。
あかりさんと冬菜は、揃ってお弁当を食べます。
いつも2人で食べているのでしょうか。
うん、人の役に立ちたいし、やっぱり、好きだから。
・・・世の中、そんな単純じゃないと思う。
えっ・・?
冬菜からそんなことを言われるとは。
まさかの言葉に、あっけに取られるあかりさん。
好きなことを好きなだけやって生きていけるほど、甘くはないと思うけど?
占った人たちだって、当たれば感謝するけど、外れれば怒る。
人間なんて勝手だし、いつも人の役に立てるかどうかなんて、分からないわよ?
それは、そうかもしれないけど・・・。
始める前からそんなこと言ったら、何も、できないよ。
冬菜は、頭も良いし何でもできるけど、あたしにはお母さんが残してくれたタロットしかないから。
わ、私だって・・・。
?
言いかけて、結局口ごもる冬菜。
言葉が詰まった冬菜の横顔を、黙って見るしかないあかりさんでした。
—
場面は変わって、夜。
●ディレクターズカット版では、ここに1シーン挿入されています。
●短いですが、冬菜とあかりさんが洗面所でばったり会うものの、冬菜は言葉も交わさずに素通り。
●冬菜が廊下を出てそのまま歩いていってしまうのを、寂しそうな顔をしたあかりさんが見ている。というものです。
●2人の間に不穏な空気が出てくる、追い込むような貴重なシーンです。
—
さて、あらためて就寝前。
ベッドの上で、冬菜との話を思い返すあかりさん。
一方、冬菜の方はというと。
黙って机に向かうものの、小説を書いているわけでもなく。
血液のような赤みを伴った不穏な描写がサブリミナル的に挿入され、以前の冬菜とは明らかに違うということを示唆しています。
ただ焦点の合わない、暗い目をしたままじっとしているのでした。
あかりさんと冬菜の部屋を窓を伝って繋がっていた蔦。
バチンという音とともに不自然に断たれた蔦が、だらんと垂れ下がる。
あきらかに不穏をあらわす表現です。
しかし、ある意味一方的な決意も感じられます。
はたして、冬菜の心はどこへ・・・。
冬菜から将来について否定的な事を問われた時に「それはそうだけど・・・」から始めた理由。
幻影のメサイア~Blood of Fortune~のCD「ヒマワリノシルシ」のトークセッションにて、「太陽あかりは、眩しいくらい理想的に育った子」という話がありました。
だからあかりさんは「いや、でも~」という言葉遣いをしないのでしょうね。
占い師としても客の悩みを最初に聞く習慣も相まって、否定をしないスタンスは一貫性があります。
また、「心崎冬菜は太陽あかりが自分の意見を伝えられることや、人に頼られたりしていることに嫉妬した。」
・・・のは確かにそうですが、それだけだと冬菜が身勝手で意地の悪い子になってしまう。
テレビ未放映の14話「踏み込めない心」にて、心崎家に養女として迎えられたあかりさん。
冬菜は、与えられた部屋で小さくうずくまっている彼女に「私たちは、家族」という言葉をかけたり、元気になったあかりさんと色々な場所へ2人で連れ添ったり。
「いつも私とあかりは一緒だったのに。いつから差が出てきてしまったのだろう」
あかりさんに嫉妬した、というより、あかりさんに比べて自分がなぜこうも動けないのか。
というところから端を発していることを加え、冬菜をフォローしておきたいところです。
トラックの暴走事故
●・・・の前に、この直前でもディレクターズカット版では、ここにもシーン挿入されています。
●あかりさんと冬菜の2人は同じ学校に通っているので一緒に家を出るも、いっさい口を聞かない。
●歩いていく冬菜のすぐ後ろに付いて歩くも、どう接すればいいか分からない困り顔のあかりさん。
●校庭に付くと後ろから野球部の声が。
●「あぶない!」
●振り向くと野球のボールが飛んできています。
●間一髪で避けるあかりさん。
●以降の描写はありませんが、冬菜は無視して教室に向かっていったのでしょう。
●なんとも息の詰まるような雰囲気です。
—
さて、本編に戻ります。
下校中、疲れたような表情でトボトボ歩くあかりさん。
それを見ていた魚屋の主人が話しかけます。
なんか、元気ないな。どうした?
いつもの太陽みたいな覇気が無ぇ。
あかりさんは気丈に振る舞うも、やはりどこか覇気がない。
そんなところを主人はつっこみます。
この言葉にあかりさんは反論もできません。
どうやら図星の様子。
と、坂の上に停めてあったトラックのサイドブレーキが勝手に緩み、、、。
間一髪で避けるあかりさん。
トラックはさらにスピードを上げ、民家に衝突!!
不吉を通り越した別のものを感じ取り、あかりさんは占いの館へ向かうのでした。
一方そのころ、1人港で佇む冬菜。
手に持つのはカミュ「異邦人」。
日を遮りながら、何を想うのか。
テレビOA版とディレクターズカット版。
冬菜のあかりさんへの態度が急変したシーンの数が変わっています。
あかりさんに次々と不吉なことが襲ってきますが、元凶はダエモニア化しつつある冬菜。
・・・と視聴者にこれみよがしに演出していますが、この時点では候補は2人います。
1 冬菜
2 以前あかりさんが占った「髪の長い中年男」
3 本当の事故
いやどう考えても冬菜だ、という見解がほとんどだと思いますが、田舎としては2の「中年男」だと考えています。
【根拠①】冬菜とあかりさんの位置
トラック事故と冬菜が港にいた時刻が同じだと仮定して、トラック事故の直後のシーン。
冬菜がいた場所は港です。
ダエモニアによる不吉な影響を与えるには、2人の距離が遠すぎます。
『距離が遠いと対象を攻撃できない』という理屈はどこから持ってきているかというと、4話に出てくるダエモニア化した聖音からです。
ダエモニアに影響された人物に備わった能力として、視界にあるものを自在に動かすというものがあります。
彼女は対象を強く妬み、強く怒りの感情を出して恨みを晴らすかのように空を睨みつけて雷を発現させていました。
事故に見せかけたものでしたが、怒りの対象者は常に聖音の視界に入っていました。
つまり、トラックを動かすためには視界にあかりさんとトラックの両方を捉えていないといけない。
冒頭で占いの館から出てくるあかりさんを遠くから隠れて見ていた中年男は責任転嫁からほとんどストーカー化しており、あかりさんの通学路を押さえていても不思議ではありません。
野球のボールがぶつかりそうになる時もトラック事故の時も、あかりさんを視界の中に入れていたとすれば、可能だったのではないかと思います。
【根拠②】冬菜は自身の嫉妬感情と闘っていた
嫉妬を強く感じていく中でも、冬菜はあかりさんに死んでほしいくらい妬んだわけではないと感じます。
冬菜は花のダエモニアと化すまで、行き場のない自身の感情と必死に戦っていたのではないでしょうか。
その証拠に、港での冬菜は目に光が宿っています。
その手で遮っていたのは、太陽か、それとも自身の悪感情か。
・・・14話やマンガを見た後は、どうしても冬菜をフォローしたくなります。
占いの館にて
ふりかかる不吉な感覚を感じ取ったあかりさんは、占いの館にて自身を占う。
結果の位置にあるのは『塔』。
『塔』のカードね。
崩壊、アクシデント、トラブル、か・・・。
でも見方によっては状況を打ち破り、新しい風が吹く。
どうして占ったのか?
不安を3人に話すあかりさん。
もしかしたら、巡り合わせが悪いのかと思って。
中年男。
永滝の母ひなたから
何か困った時に、相談できる相手が複数いるというのは良いですね。
頼みの綱の冬菜とは折り合いがつかないのがつらい。
きっと、普段はあかりさんが困った時の相談役は、いつも冬菜だったのではないでしょうか?
心崎冬菜とダエモニア
夜、自分の部屋で絞り出すように小さく呟く冬菜。
SEも不穏。
「太陽が眩しいから」
太陽とはあかりさん。あかりさんに嫉妬してしまった。自分はあんな人気者にはなれない。そんな行動力もない。
それをあかりさんのせいにする自分。あかりさんとの距離感を上手く測れずにいる。
捨てるほど嫌なら見たくもないと思うので、ゴミ箱の中に隠すと思うのですが、
ゴミの上にとんと、見えるように置いてあります。
冬菜は自分が今何をしているのか悩んでいる自分に気づいており、内心戦っていたのではないでしょうか。
冬菜に相談役がい・・・たはずなのに(両親)、真面目なぶん話せなかった。
辛いものがありますね。
太陽ひなたの三回忌
翌朝。
先日、話していたあかりさんの母親である太陽ひなたの3回忌。
一瞬、冬菜と話しかけるタイミングもありましたが、冬菜は応えることがなく。
この間は、ごめ・・・。
結局、言葉を交わすことも叶いません。
取り付くシマのない冬菜。
どうすれば・・・。
ひなたさんの好きだった花でしょうか。
お墓にひまわりを供えます。
おかあさん。
安らかに。
両手を合わせ、静かに弔うあかりさん。
その背中を見て、冬菜は何を思うのか。
以前から増殖をしていた不吉な細胞。
徐々に冬菜の意識を侵していく。
冬菜の意識は、この時点でもう消えてしまったのか。
一応、ひまわりは小さいものを推奨されていました。
花のダエモニアと『太陽』の覚醒
ひなたの三回忌・その夜。
冷や汗をかき、夢の中でうなされるあかりさん。
映像はありませんが、窓がカタカタと音を立てています。
そういえば、お墓参りの時にも風が吹いていた。
今日は風が強い日らしい。
あの唸るような声は風の音だったのか・・・。
そう納得させて、寝入ろうと思った矢先。
これは何だ、虫か?花か?・・・怪物か?
いや何なのかもわからない!
根を触手のように張り巡らせ、あかりさんに襲い掛かる!
首を絞められるあかりさん、何の理解も追い付かないまま。
気を失いかけたその瞬間。
机の上のタロットが勝手に動き出します。
意識が戻り、何かを視る。
炎をまとい、細い剣を振り、オレンジ色の髪をなびかせる。
なに・・・・これ・・・?
あた・・・し・・?
根を薙ぎ、葉を燃やし、花を突く。
何も理解ができないまま、自分に似たその子の姿をただ目で追っていました。
怪物の中にあった球体を突くところで、はっと我に返ったあかりさん。
今のはすべて、夢だったのか?
タロットカードも机の上に置かれたまま。
風も止み、あるのはただ夜の静寂。
そう呟いて、ベッドに座り込むあかりさん。
一呼吸おいて、とりあえず自分を落ち着かせる。
すると、何かが視界に入ってきた。
見覚えのあるバラのコサージュ。
流れてくる赤い色をした液体。そして、見知っている・・・。
目の前に飛び込んできたすべてを、拒絶するように叫ぶあかりさん。
ブツリと。
意識が途切れる。
初見殺しの1カット。
ここで記憶改竄が行われたことに、何人が気づくのか。
いや、でも確かに今考えると、このテレビの電源を落とすような映像。
ヴゥッという音。
ここから同じ日の朝にループしているので、何か意図的なものをされたとわからないでもないですけどね。
もう冬菜はどこにも、誰の記憶の中にもいません。
しかし冬菜が植物に対して太陽の炎とは、あかりさんが圧倒的なのもまた皮肉な結果ですね。
冬菜が植物のダエモニアになったのは、薔薇のコサージュがモチーフでしょうね。
冬菜は最後まで、あかりさんを意識していた。
『太陽が眩しい』。
再・太陽ひなたの三回忌と、占いの館に向けられたもの
転じて、またある日の朝、新崎家。
あかりさんは、叔母に身支度を急ぐように言われます。
あかりさんはその言葉を素直に受け止め、とても頼もしく思っているのでした。
その数時間後、占いの館では。日の陰りとともにある重大な出来事が起こります。
占いの館に向かう、暗い影をまとった男の姿。
先日占いの館の同僚たちと「気を付けたほうがいい」と話題に上っていた中年男。
悪い噂は当たるもので、己の不幸を他人に向けていました。
足取りは重く、しかし自分の意志だけではなさそう・・・。
三回忌の帰り、洋菓子店の立ち寄っていた3人。
曇天ということもあり、お店を出ると辺りはすっかり暗くなっていました。
あかりさんは1人、いつも世話になっている占いの館へ向かうことに。
暗がりの中でもあかりさんの足取りは軽く。
ふんふん♪とハミングしながら駆けていきます。
「コ ロ ス」
その声は強く、はっきりとした悪意。。。
あかりさんを不安にさせるに十分な声。
不吉な予感を感じ、占いの館へ急ぐあかりさんでした。
占いの館に向かう、”引導を渡した中年男”。
冬菜の「占いをしたことで恨まれることもある」を体現したような人物。
ちなみにあかりさんが伝えたのは、マンガ版を同じなら
「奥さんとヨリを戻すためには、あなたが就職して定期的な収入を得るべき」です。
彼は色々と上手くいかないときに占いにすがったのでしょうが、納得のいかない答えで逆恨みする結果に。
そこをダエモニアに付け込まれたのですが、他責思考には私たちも気を付けたいものです。
火災に遭う占いの館
不安が的中したあかりさん。
目に映るのは、大きく火柱のあがる占いの館。
あのっ!ここの人は!?
まだ中にいるみたいだけど。。。
あかりさんは居ても立ってもいられず、中に入っていきます。
2階への階段をあがってすぐ、占い師3人を見つけるあかりさん。
・・・!!
みんなっ!
と、同時にうしろから聞いたことのある、強くて暗い唸り声。
あかりさんの問いも無視し、男は禍々しい炎を纏った腕をこちらに向ける。
炎がまるで操られたように、自分に向かってくる。
しかし自分の背中には占い師3人。
その声に応えるように動き出す『太陽』。
まだ自覚はないですが、あかりさんが再度『覚醒』をします。
普段の姿は「ルーメンモード」
覚醒時は「テネブライモード」と呼ばれます。
目がキツくなる・・・というか普段と雰囲気がガラリと変わるのは「テネブライモード」に慣れていないから。
また、髪の毛はあくまでエネルギー体という設定です。
ということは、訓練を重ね、戦闘を経るごとに髪の毛は短くなっていくのか?
「これはこれで」残しておいてほしいものです。
中年男が炎を纏って炎を操っていることは、もはやどうでもいい。
覚醒して、3人を助け出すためにこの場を切り抜けないと、ですね。
覚醒:テネブライモード
周りの景色が歪んでいき、別の空間に入り込んだあかりさん。
先ほどの男性がいなくなった代わりに、巨大な火の怪物・ダエモニアが目の前にいる。
呆気に取られるのは無理もない。
その隙を突かれ、あっという間に首を絞められ、意識が遠のいていく。
この感覚を、どこかで。
消えかかる意識の中、思い出されるのは、その”どこか”。
意識が消える間際、その”どこか”と同じように動く『太陽』。
溢れ零れる『太陽』のエネルギー。
その姿にひるむダエモニア。
タロットカードからレイピアソードを取り出すあかりさん。
風を切るような音と共に、斬撃によって一部の炎を吹き飛ばす。
本体を引きずり出すことに成功する、覚醒あかりさん。
その本体の中心をめがけて全力の突き!
周りの炎は一瞬にして剥がされコアが露わに。
圧倒的に優勢だったあかりさん。
しかし、あと一歩のところで相手の炎で阻まれ包み込まれてしまう。。。
持ち前の運動神経で敵を圧倒するあかりさん。
作画については語れるほどの知識はありませんが、よく動いて気持ちがいいです。
炎を吹き飛ばす、シュパシュパという音も耳触りが良い。
あかりさんが普段言わないような低い声にして差別化していることもポイント。
実はアストラルクスへはタロット使いなら1人で入ることができます。
しかしアストラルクスへの転移が失敗すると精神に異常をきたしたり転移できても意識を失うことになります。
そこで天道三姉妹は、安定かつ最短でダエモニアの元へ向かえるように、専用の上昇機関(アセンショナー)装置を作っています。
タロット使いの少女たち
何処からともなく、水晶の力を宿した矢が飛んでくる。
水晶の力は、縛り付けていたダエモニアの炎からあかりさんを解放する。
それを放ったのは、『星』の使い手・星河せいら。
その後ろには同じタロットの『加護』を持つ、少女たち。
『節制』の使い手・白金ぎんか
『月』の使い手・月詠るな
コアを視界に認めたせいらちゃんは、1本の矢を放つ。
矢が貫くと、ダエモニアのコアにあるタロットが一瞬の光とともに消える。
コアがなくなったことで形を保てなくなったダエモニアは、大きな音を鳴らして消し飛んだ。
先のあかりさんの戦闘を見ていたのか、3人は新しく覚醒した『太陽』の評価について話す。
反撃されてこれじゃぁ、先が思いやられる
せいらちゃんの矢についてはネット上で『氷』だと見かけることがありますが、正しくは『水晶』になります。
確かに氷っぽいですけどね
戦闘を終えて
いそぎ救急車に運ばれていく占い師の3人。
仕事を終えたことを木陰で確認する3人。
そして・・・。
消防隊員に気づかれることなく、あかりさんを抱えて堂々と進む女性。
先日あかりさんと出会った謎の女性と、車にいた女性。
やはりレグザリオの予言通り、母親の命日に覚醒とは皮肉だな。
・・・えぇ。
これで揃ったな。
太陽あかりさんはその日、『太陽』の使い手として覚醒しました。
せいらちゃんたちはいったい何時から見ていたのか?
ダエモニアの発生反応直後からとすると・・・中年男が占いの館に向かった時?
それとも、占いの館が燃えた時?炎のダエモニアが発現した時?
ダエモニアが姿を現した時だったと記憶しているので、
あかりさんが覚醒する少し前にセフィロ・フィオーレの警報が鳴り、3人でアセンショナーに入り、あかりさんの戦闘を様子見していたというのが基本的な流れでしょうね。
せいらちゃんは「思いやられる」と言い放っていますが、あかりさんが炎に包まれた瞬間に矢を届けています。
それまでずっと弓を構えて準備していたんでしょうね。
また、ラストシーン、エティアさんがあかりさんを抱えて堂々と歩く姿がサマになっています。
周りがやや光っているのは、能力を使っているという表現でしょうが、やはり『世界』には他人に見えなくする力(ちから)があるのでしょうね。
あかりさんとショーウィンドウで会った際にもその能力を使っている可能性があります。
『世界』と『審判』の能力について、作中屈指の謎の1つなので、想像を膨らませてコメントしていただければ幸いです。
エンディング
話の終わりに曲が入ってエンディングに繋がる。
毎回の入りが神ってる。
今でもたまに聴いてます。
幻想(ゆめ)の果てまででも きっと~♪
今回の好きなシーン
1話から色々と忙しいですね。
とはいえ占いの館はとても静かで、厳かな空間を感じ取れる良い画だなと感じました。
主要キャラクターの登場、世界観。能力の一部覚醒、バトルシーン。
いろいろありますが、「幻影ヲ駆ケル太陽」という作品の中では、どうしても外せない部分。
「幻影ヲ駆ケル太陽」のストーリーは、そもそも「幻影のメサイア」の中の一部という構成になっています。
なので、「タロット使いの宿命」の話は「幻影のメサイア」に譲ることにしています。
「幻影ヲ駆ケル太陽」としての話は、全体通して心崎冬菜とのアレコレをどう折り合いをつけるのか、になっているので
・心崎冬菜
・占い師
やはりここを印象に残ったポイントにしておきたいです。
占い師を目指すあかりさん、現在の状況を俯瞰して、これからどうすべきなのか。
いつも依頼人に伝えていることを、自ら問いていくことになります。
感想・伏線・気になったところなど
エティア・ヴィスコンティの『世界』の能力
あかりさんにリボンを拾わせる一連の動作で、エティアさんはあかりさんの何を観たのか。
エティアさんの能力は、作中通して具体的には出てきません。
しかし1話ラストでは消防隊員の横を素知らぬ顔で通り過ぎています。
どうやら「自身と、触れているものを見えなくする」という能力はあるようです。
なので、これが『世界』の能力のうちの1つなのは明白。
ということは、あかりさんにリボンを拾わせる前後ではすでに能力を使っていて、一般人にはに見えないようにしていた。
あかりさんがエティアさんを認識できる=タロット使いとしての覚醒が近いことを示していたのではないでしょうか?
次のタロット使いが誰になるのか、タロットの声による宣告がある。という設定があります。
宣告は言葉ではなく、その代のタロット使いが”感じる”というもの。
他の使い手にはそれが分からないが、『太陽』を継承するならほぼ100%娘になるはず。
そこで直接確かめると、実際にあかりさんはエティアさんを観て、リボンを拾い、手渡した。
アリエル「どうだった」
エティア「間違いないわ。運命の輪は・・・回り始めた」
という流れになるのではないか・・・と妄想してみました。
『幻影ヲ駆ケル太陽』の主人公があかりさん、『幻影のメサイア』の主人公がエティアさんだとしても遜色ありません。
4話での世界設定にて、もともとエレメンタルタロットとディアボロスタロットは1つだった。
あるとき2つに分かれ、片やタロット使いの元に。もう片方はダエモニアの元に。
その分かれた原因になった実験の、研究員の一人がエティアさんです。
あかりさんが『太陽』の使い手として覚醒するため、冬菜がダエモニアになることは分かっていたのかもしれない。
・・・というのは考えすぎでしょうか。
それはそれとして・・・
・・・
あかりさんは本当に可愛すぎる。
2話へ続きます。
—
※当記事は、作中の画像を参考として引用しています。
参考画像等の著作権は「(C)sole;viola/Progetto 幻影太陽」 にすべて帰属します。
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